最高裁判所第二小法廷 昭和25年(れ)1867号 判決 1951年3月09日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人市原庄八の上告趣意について。
しかし、所論今井梅太郎の被害始末書には、窃盗被害の日時及び被害物件等につき、被告人の自白にかかる原審認定事実を裏書するに足りる記載があるから、原判決は所論の如く被告人の自白だけで被告人の罪責を認めたものではない。そして、かかる場合犯人が被告人であることの証拠が自白のみであっても違憲違法でないことは当裁判所大法廷判決(昭和二三年(れ)一三八二号、同二四年一一月二日言渡、集三巻一一号一六九一頁)に徴して明かである。よって、論旨は理由がない。
よって、刑訴施行法二条、旧刑訴四四六条に従い、主文のとおり判決する。
右は全裁判官一致の意見である。
(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)